環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 環境汚染と私

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年代測定総合研究センター 地球史学講座
准教授 南 雅代
(地球化学)

門は地球化学。今まで岩石、堆積物、水などの地球物質、および隕石などの地球外物質の年代測定(生成、堆積、変成、地上落下年代など)や、これらの物質の化学分析データに基づいた古環境復元の研究を行ってきました。3年前、環境学研究科から年代測定総合研究センターに異動しましたが、研究内容はほとんど変化していません。強いて言えば、遺跡から発掘される骨の分析など文化財科学的な研究の割合が若干増えたことでしょうか。現在は、古人骨中のストロンチウム同位体比を用いて、その遺跡に埋葬されている人の生まれ育った地域(地質)を推定することにより、古代人の移住の情報を得る方法の確立に力を注いでいます。
ころで、私が生まれ育ったのは大阪のど真ん中。小学生の頃はちょうど大気汚染花盛りで、度々光化学スモッグ注意報や警報が発令され、校庭で遊べなかったことを覚えています。またその頃、大阪府の水源である琵琶湖や淀川の水質悪化もひどく、水が臭くて飲めたものではありませんでした。今思えば、環境汚染に浸っていた子ども時代でした。
境汚染を次に身近に感じたのは、自分が親になってから。第一子の出産時から第三子が生後半年までの約6年間、埼玉県所沢市というところに住んでいたのですが、当時、所沢周辺に焼却炉が多数建設され、排煙による大気汚染が発生していました。所沢周辺産の野菜に高濃度のダイオキシンが含有されているとマスコミで騒がれたのは、ちょうどその頃です。実は、第三子はアトピー性皮膚炎で今もちょくちょく皮膚科に通い、第二子も生後1年程、ひどいアトピーに悩まされました。後になって、所沢周辺で新生児死亡率、アトピー疾患率が多いことを知りました。第一子、第四子はアトピーを発症しておらず、第二子、第三子、特に第三子にアトピーが強いのは、偶然なのか、必然なのか・・・。何事もなく普通に暮らしているつもりが、知らないうちに環境汚染に浸っているとは、恐ろしいことです。
古屋は、今まで住んだ大阪、東京周辺に比べて周りに緑が多く、空気がきれいで水もおいしいと感じます。私はこれまで、地球の古環境を探る研究を主に推進してきたわけですが、現在進行形の身の回りの環境問題にも目を向け、多様な分野の専門家と連携しながら、さまざまな研究・教育活動に積極的に取り組んでいけたらと思っています。

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東シベリア・ブイコフスキー半島の凍土中から採集されたマンモスの臼歯化石

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鎌倉由比ヶ浜地域の遺跡から出土した古人骨(肋骨と歯)

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