環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 イカと環境と私

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都市環境学専攻物質系
助教 長尾 征洋
(電気化学)

暑の影響を痛感したのは、8月の終わりに博多を訪れたときでした。私的博多のうまいものランキングは、ラーメン、イカ刺し、もつ鍋がトップ3。夏バテというのは人間だけでなくイカもあるようで、少しでも冷たい海が良いらしく、灼熱の陸上には揚ってくる体力がなかったそうです。おかげで、イカ刺しにありつくことはできませんでした。諫早湾でも海水温の上昇で赤潮が大量発生。その影響でアサリが大量死したそうです。今年の猛暑は、地球の温暖化の一つとして記憶に残ることでしょう。
境が議論のキーワードになるとき、ネガティブな要因によって環境が危機にさらされるという筋道が多いように感じます。酸性雨で枯れた木や重油にまみれた鳥をみて、私たちは事の重大さを実感します。そこではじめて今までの私たちの生活を見直す姿勢が生まれます。最近、このような経験をする機会が増えたことは紛れもない事実でしょう。このことは決して幸せなこととは言えませんが、一つのチャンスでもあります。危機感を持ち、行動しようとするきっかけができるからです。
の夏、名古屋港でエコカーの展示がありました。お馴染みのハイブリッドカーや電気自動車、燃料電池自動車に乗ることができました。中でも注目を集めていたのは、クリーンディーゼルエンジン車でした。ディーゼルと言えば、黒い煙を吐き出し、臭い排気ガスを出すイメージが定着していますが、そのようなイメージはかけらもありませんでした。実はガソリン車に比べ燃費は1−2割程度良く、CO2排出量も、格段に少ないのです。もちろん、黒煙も出しません。酸性雨の原因になる窒素酸化物(NOx)の処理技術がより進化すれば、最も身近なクリーンカーになるかもしれません。ネックは800万円以上の車両価格。環境にやさしくても、現状ではお財布にきびしいようです。
の研究テーマの一つに、NOx検出機能と浄化機能を持つ電気化学デバイスの開発があります。「ディーゼルエンジンは悪者のイメージが染みついていますが、それはもう過去の話。われわれが開発したNOxデバイスを使えば、排気ガスはクリーンで、、、」。そんな話ができる日を実現すべく、研究を続けていきます。
(ながおまさひろ)

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