環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 「クール・ビズ」3度目の夏をむかえて

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都市環境学専攻建築学系
助教 尹 奎英
(建築環境設備)

は、建築設備のことを研究しています。建築設備のなかでも建物の冷暖房・換気のことをやっており、いかに少ないエネルギーで効率よく冷暖房・換気をするかについて研究しています。要するに、「省エネルギー」のことを空気調和分野で実践しようとしています。省エネルギーとは、無駄なく、もっと賢く効率よくエネルギーを使うことといえます。皆さんは日常のなかで、省エネルギーを実践していると思いますが、最近話題の「クール・ビズ」も省エネルギーのひとつの身近なメニューといえるでしょう。
のクール・ビズについてですが、政府の内閣府がまとめた「クール・ビズに関する特別世論調査,H19.8.2」によると、クール・ビズが始まったH17年以後、軽装習慣は広まったものの、冷房設定温度を28℃またはそれより高くする行動は約3割程度にとどまり伸びてない。つまり、クール・ビズが省エネルギー効果にはつながっていないそうです。クール・ビズが励行されてから3度目の夏、人々は軽装になったが、冷房設定温度28℃は受け入れてくれない!!まだ始まって3年だからという楽観的見方もできますが、28℃は本当に受け入れられる数字かという疑問を感じました。
房設定温度を28℃にあげると、空調システムや居室環境の状況によっては、ちゃんと除湿できない(湿度が高くなる)場合があります。こうなると、軽装になったにも関わらず、28℃を不快に感じる場合があり得ます。もしこのようなことが設定温度を28℃にできない主な原因となれば、この先、設定温度28℃の実践拡大の見通しは暗いのかもわかりません。といっても、冷房設定温度をあげて得られる省エネ効果の報告例があるように、クール・ビズ&設定温度28℃の実践は、確かに省エネ効果があるといえます。
ール・ビズを実践し、これを省エネに実らせるには、私たち一人一人の理解と参加が必要不可欠であります。そして、ちゃんと除湿できない場合を想定した空調システムの整備等も必要と思います。空調システムの整備は私たち設備研究者の宿題であります。クール・ビズを格好だけの省エネにならぬよう、今日も研究・開発に頑張ってまいります。皆さん方も、この夏、いつもより「1℃」設定温度をあげてみませんか。
*財団法人 省エネルギーセンター
(ゆん ぎゅうよん)