環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 もしも地球規模の環境問題が起こったら

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社会環境学専攻環境政策論講座
教授 広瀬 幸雄
(環境心理学)

はこの時期になると、いつも地球規模の環境問題を数回体験します。といっても、仮想世界の中でです。地球規模の環境問題や南北問題についてのRPG型ゲームシミュレーション、仮想世界ゲームを学生さんに参加してもらい、1日かけて実施しているのです。
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0人の住民で構成されるこの小さな世界は、2つの豊かな先進地域と2つの貧しい発展途上地域に分かれており、それぞれの地域には政府,企業,穀物メジャー,環境団体などの役割を持つプレーヤーがいます。自分の生存、安全、豊かさ、社会的権力や人望を達成するのを目標にして、食糧や労働力などを売買したり交換したりします。そんなミクロな個人レベルの行為が累積されて、マクロな世界レベルの問題である、飢餓や失業、社会不安とテロリズム、経済成長や環境汚染といった事象が発生するようになっています。
ームの展開は参加者のふるまいによって毎回異なりますが、いつも後半に地球規模の環境問題が発生するように仕組まれています。もちろん、4地域が協力して事前に浄化のための費用を支払えば未然に防げますが、現実の世界と同じように、地域の目先の利益を優先するので、ほとんどの場合は、問題が起こってから多くの解決費用を払わざるを得なくなります。そこでは、京都会議のように、それぞれが自分達の利害や正義、相手側の責任を主張して、なかなかまとまりませんが、共通の危機ですのでなんとかみんな合意して、ゲームは無事に終わります。
年実施したゲームの後で、プレーヤーに費用の分担に偏りがなかったか、決め方はフェアであったか、4地域全体での決定を受け入れるかをたずねてみました。すると、豊かな地域は費用分担が衡平かどうかをよりどころに、貧しい地域は手続きが公正かどうかをよりどころにして、それぞれ決定を受け入れるかどうかを判断していました。なぜ地域で異なるのでしょうか。今はそれをうまく説明できる理由を探しているところです。
(ひろせ ゆきお)