環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

Home > 環境学と私

  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 環境学と私

karasawa_s.jpg
社会環境学専攻心理学講座
准教授 唐沢 穣
(社会心理学)

が専門とする社会心理学は「人間が考え、行動する過程に社会的環境がどのような影響を与えるのか」を調べる学問です。社会や文化のしくみ、人間関係のあり方といった、マクロな環境のはたらきを、一人ひとりの人間が持つ思考や感情、行動特性などミクロな心理過程の分析を通して明らかにしようとする試みといえます。
在、私は次のような問題について研究を行なっています。
  • 集団への所属意識はウチとソトという心の壁を作り、他集団に対する偏見や思い込みを生み出す。これを解決して公正で平和な社会を築くにはどうしたらよいのか。
  • 私たちは人や組織の行為について責任を問い、時に善悪の判断を下す。そこにはどのような心理過程が働いているのか。社会の規範や法はこれとどのように関わっているか。
  • ものの見方や考え方は、私たちが使っている言語の特徴や育った文化的環境によって影響を受ける。言語、文化、思考の互いの関係とは?
ても一人では扱いきれないくらい多くのテーマを含んでいて、私の(研究に関する)欲張りな性格を反映しているようですが、いずれも先ほどの表現で言うと、マクロ(巨視的)なレベルの問題意識にもとづいているつもりです。一方、これらの問題にアプローチする研究の枠組みと方法はむしろミクロ(微視的)で、少しずつ条件を変えることで人の考えや行動がどのように動くかを調べる、実験という方法をおもに好んで使っています。
会科学であれ自然科学であれ、科学の研究で大切なのは、第一に現象を見抜くための深くて鋭い洞察、第二にその現象が「なぜ、どのようにして起こるのか」を説明するためのアイディアと方法を持つことだと思います。現象の発見と記述においては社会環境を見据えるマクロな視点が、そして説明のための研究においては人間についての詳細な理解の方法が、ともに求められる社会心理学を、「環境学」というこの現代的で実際的な枠組みの中で実践して行くことは、私の研究を深化させるとともに社会に還元して行くための絶好の機会だと考えています。
(からさわ みのる)

 本教員のページ