環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

Home > トピックス

 第80回防災アカデミーを開催

 名古屋大学防災アカデミーが6月12日(火)に環境総合館レクチャーホールで開催されました。今回は、平川一臣北海道大学名誉教授により、「津波堆積物を探して、観て、考えたこと」と題した講演が行われ、約150名の参加で満席となりました。
 東日本大震災の大津波は869年貞観地震以来といわれています。このような数百年から千年に一度の大津波の姿を明らかにするには、歴史資料だけでは十分ではありません。津波堆積物は、津波によって陸地に運ばれた土砂が海岸近くの地層に残っているもので、数千年にわたる大津波の繰り返しが記録されており、最近注目を集めています。
 講演では、平川名誉教授が東北・北海道の沿岸を詳しく調査した結果に基づき、東北沖だけでなく北海道沖を震源とする巨大地震もあわせて、数百年に一度の大津波が繰り返し発生していることが説明されました。大津波の解明には海岸段丘など高いところを調べるなど、どのような地形に津波堆積物が残されているか、またその年代解明の方法なども詳しく説明されました。
 3月に内閣府から発表された南海トラフ巨大地震の津波想定に関して、津波堆積物の調査はまだ十分ではないと述べ、古くから開発が進む西日本では地層が残っていないことも多いが、地形をよく観察すれば重要な情報が得られると、今後の展望も示されました。最後に、専門的な内容も含めて活発な討論が行われました。

 写真

写真1
講演する平川名誉教授
写真2
満員の会場のようす