環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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 第75回防災アカデミーを開催しました。

 12月2日(金)、環境総合館レクチャーホールにおいて第75回防災アカデミーを開催しました。
 今回は、首都大学東京名誉教授で明治大学政治経済学研究科特任教授の中林一樹先生により、「二元復興の国土づくり〜東日本の災害復興から西日本・首都圏の事前復興へ〜」と題した講演が行われました。
 講演では、まずこの15年余りの間に我が国で発生した震度7を記録した地震である阪神淡路大震災、中越地震、東日本大震災の教訓をわかりやすく解説され、次に、首都圏で現在想定されている東京湾北部直下地震や、東海地震、東南海地震、南海地震の被害を解説されました。そのうえで、東日本大震災の迅速な復旧/復興を進めるとともに、首都圏や東海―西日本で地震被害を繰り返さないために、長期的な視野に立った地域構造・国土構造づくりを進める「二元復興の国土づくり」という考え方が示されました。
 首都直下地震や東海・東南海・南海連動地震では、東日本大震災をはるかに超える被害が見積もられています。この被害を可能な限り減らすために、地震動による直接被害発生の軽減、その後の被害拡大の抑制、間接被害の軽減などを総合的に進める「事前復興」という考え方が提案され、東京における事前復興の取り組みが紹介されました。都市全体で、震災に強いグランドデザインを立てたうえで、地区ごとの復興計画を作り、さらに地区の防災訓練などソフト対策も関連付けて進めることによって、地震時の被害軽減と地震後の対応準備を合理的に進めるという事前復興の枠組みがわかりやすく解説されました。
 東日本大震災を教訓に、近い将来の東海地域の大災害に備えて、それぞれの立場で何に取り組み、その取り組みをどう総合化してゆくのか、参加者にとって示唆に富んだ内容の講演でした。一般市民など約100名の参加がありました。
災害対策室のホームページ
今後の予定
 1月13日(金)東地隆司(三重県企業庁長)
  「三重の防災文化づくり 〜三重県のこの10年〜」
 2月7日(火)松田曜子(NPO法人レスキューストックヤード事務局長)
  「災害ボランティアという存在、役割、可能性 ―東日本に学び、東海東南海に備える―」

 写真

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講演する中林先生
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会場の様子