環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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 第64回、65回防災アカデミーを開催しました

 第64回、65回防災アカデミーが11月9日(火)、12月2日(木)に環境総合館レクチャーホールにおいて開催されました。
 第64回は、静岡県危機管理部危機報道監の岩田孝仁氏により「減災社会を築く」と題した講演が行われました。昭和51年に東海地震説が発表されて以来、耐震化や家具固定などあらゆる対策を推進してきたこと、それでもなお、昨年8月の駿河湾を震源とする地震(最大震度6弱)では、ブロック塀が207カ所で倒壊したり、固定されていなかった家具が散乱するなどの被害があり、なお課題が残されていることを指摘されました。さらに、現代の少子高齢化流れにあって、今後いかに地域防災力を強化・維持するかという課題に対し、中高生をはじめとする若者の防災訓練参加などにより、防災に関する人材育成に注力していることをご紹介いただきました。
 第65回は、東北大学大学院工学研究科附属災害制御センターの今村文彦教授により「1960年と2010年のチリ沖地震津波」と題した講演が行われました。今村先生は、1960年と2010年の2つのチリ沖地震の発生メカニズムや被害状況を比較しながら、1960年チリ沖地震は過去最大級の地震であり、それにより発生した津波は日本を始め環太平洋諸国に影響し多大な被害が生じたこと、また、この災害によりその後の国際連携のあり方や津波研究、防災対応が大きく変わったことをご説明されました。他方、2010年にほぼ同じ地域でMw8.8の巨大地震が発生し、日本の太平洋沿岸にも津波が押し寄せ避難勧告が出されたにも関わらず、対象住民の避難率が極めて低かったことを強調されました。今村先生はご講演の最後に、これら2つのチリ沖地震の事例から今後の避難情報の提供方法の検討、住民の防災意識啓発の必要性について訴えられました。
 これら2回の参加者はそれぞれ95名、121名で、いずれも熱心にメモを取る姿が見られ、活発な質疑応答が行われました。
災害対策室のホームページ
今後の予定
1月19日(水)桜井誠一 (神戸市役所 代表監査委員)
 「私の体験的危機管理 〜阪神・淡路大震災と新型インフルエンザ広報経験から〜」
2月10日(木)舩木伸江(神戸学院大学 学際教育機構防災・社会貢献ユニット講師)
 「阪神・淡路大震災を語り継ぐ〜震災の直接体験を持たない学生たちのチャレンジ」

 写真

写真1
講演する岩田氏
写真2
第64回防災アカデミーの様子
写真3
講演する今村教授
写真4
第65回防災アカデミーの様子