環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

Home > トピックス

 第53、54回防災アカデミーを開催しました

10月21日、第53回防災アカデミーが開催され、関西学院大学の室崎益輝教授より「減災と危機管理」と題した講演が行われました。先生は、阪神・淡路大震災を例に、「事後の対策」より「事前の対策」の重要性を訴えられました。また、ハードウェア、ソフトウェア、ヒューマンウェアのいずれも重要で、それらが足し合わさってはじめて地域防災が強固なものになる、ということを強調されました。次に危機管理について軽快かつ分かりやすくご説明され、組織の防災を進めるにあたって、個人の防災が重要であることを示されました。また先生は、「確信できる安心」と「理由のない安心」の2つの安心があることを説明され、前者でなければ災害には立ち向かえないことを指摘されました。最後に、「減災」を目指して、日常的に、また皆が力をあわせて「備える」ことが重要である、と強調されご講演を締めくくられました。

また、11月11日には第54回防災アカデミーが開催され、名古屋大学環境学研究科の溝口常俊教授により、「鸚鵡籠中記にみる自然災害」と題した講演が行われました。300年前に、尾張藩士により27年間にわたって毎日記録された日記には、膨大な量の事件が記録されていました。その中から、地震や火災などの災害の記載を抽出すると、公的な災害の記録である「愛知県災害誌」とは比べものにならないくらいの頻度であったことが分かりました。このように、当時の人々にとっては、災害は忘れた頃にやってくるものではなく、むしろ、身近な存在であった可能性を指摘しました。そして、減災の重要性から、過去の災害における減災の成功例や失敗例が記された古文書を詳細に読み解くことが有効であると指摘されました。

 写真

講演する室崎先生
質問に応じる室崎先生
第53回防災アカデミーの様子
講演する溝口教授
質問に応じる溝口教授
第54回防災アカデミーの様子