環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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 第41回防災アカデミーを開催 災害対策室

 7月18日(金)に、第41回防災アカデミーが環境総合館レクチャーホールで開催されました。防災アカデミーとは災害対策室が主催する市民向けの防災講演会で、防災に関する様々な分野の著名な講師を学内外から招いて実施しているものです。2003年にはじまり、これまで5年以上継続して開催されており、大学発のユニークな地域貢献として全国的に知られています。環境学研究科は全学組織である災害対策室の活動を全面的に支援しています。

 今回の防災アカデミーでは火山災害をテーマにとりあげ、北海道大学名誉教授で現在は環境防災総合政策研究機構専務理事を務めておられる宇井忠英先生による「三松正夫が種を蒔いた火山防災文化」と題した講演がなされました。

2008年8月に開催された北海道洞爺湖サミットの開催地のすぐ脇に、日本で最も活動的な火山の一つである「有珠山」がそびえています。最近では西暦2000年に噴火して建物などに壊滅的な被害が発生する事態となりましたが、事前に16,000人もの住民の避難が行なわれ1人の死者も出さずに済みました。火山防災が成功したモデルケースとして世界的に注目されています。

 このような有珠山の防災体制は三松正夫氏という一人の人物の精力的な活動から始まりました。三松氏は1910年、1943年、1977年と3回の噴火に遭遇し、特に1943年の噴火では昭和新山が成長していく過程を克明に記録した「ミマツダイアグラム」を残し、その資料は火山学者からも高く評価されています。その熱意は北海道大学の研究者であった岡田弘氏(現在、同大学名誉教授)に引き継がれ、地域一体となった火山防災への取り組みがなされたのです。

 講演では2000年噴火を至近距離から撮影した動画や、災害対策本部における意思決定の様子を記録した貴重な動画などもまじえながら、有珠山における火山防災取り組みの歴史と、2000年噴火前後における防災対策が詳しく紹介されました。

 防災アカデミーは9月以降も毎月開催予定で、どなたでも自由にお聞きいただくことができます。開催予定などは災害対策室のホームページで広報しておりますので、ご確認の上お出かけください。(災害対策室ホームページ)

 

 写真

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講演する宇井忠英北大名誉教授
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80名の聴衆でうまった講演会場の様子
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講演後は会場から多数の質問が寄せられました
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質問に回答する宇井先生

 ポスター(PDF 2.1MB)